価格だけでは見えない価値:日本の酪農における粗飼料の真の価値を考える

コスト分析から見えてくる、欧州乾燥脱水飼料作物が日本の酪農経営にもたらす価値

EU乾燥脱水飼料作物キャンペーンのワークショップで実施されたコスト分析により、日本の酪農経営における重要な示唆が明らかになりました。国内で生産される粗飼料、特にコーンサイレージは、依然として飼料設計の中で最も経済的な基盤となっています。しかし同時に、それを補完する安定した品質と適切な栄養価を備えた粗飼料へのニーズもあると考えられます。

北海道では、大規模な酪農場ほど自家生産のコーンサイレージやチモシーサイレージを確保しやすく、飼料コストの抑制につながっています。しかし近年は、夏季の高温化や降雨量の増加により、収穫や保管条件の予測が難しくなっているほか、粗飼料品質のばらつきも大きくなっています。

一方、北海道以外の地域では、農場規模が比較的小さく農地も分散しているため、購入飼料への依存度が高くなる傾向があります。そこで生じるのが、「必要な量のサイレージを自給できない場合、輸入粗飼料にはどの程度のコストがかかるのか。また、それによってどのようにバランスの取れた飼料設計を維持できるのか」という実務的な課題です。

以下の表は、北海道の一般的な飼料配合例を、コーンサイレージの利用割合に基づいて示したものであり、あわせて各原料の相対的なコスト指数をまとめています。

生産指標:乳量35kg(1頭1日あたり、乳脂肪3.8%、平均180日)

参照: 北海道の飼料価格を元に一般的に用いられている飼料配合例。現地視察で得られた情報を元に整理したもの

この表によると輸入粗飼料が国内産サイレージの不足分を補うことができ、しかも1日当たりの総飼料コストを過度に増加させることなく利用できることを示しています。また、飼料配合の内容がどのように変化するかも示しています。サイレージの使用量が減少すると、アルファルファの給与量は1頭1日当たり3kgから4kgへ増加し、その他のグラスヘイは1kgから3kgへ、オーツヘイは1kgから2kgへ増加すると予想しています。

これらの製品は、配合飼料を補完し、反芻機能を維持するために必要な繊維質と有効繊維を供給する役割を果たしています。

コストの背景にある栄養価値を示す第2の分析

*DM:乾物(Dry Matter) CP:粗タンパク質(Crude Protein)NDF:中性デタージェント繊維(Neutral Detergent Fibre)NEL:泌乳エネルギー(Net Energy for Lactation)配合飼料PC18の泌乳エネルギー(NEL)は、TDN72を換算して算出しています(TDN 1単位=NEL 1.65Mcal)。価格はすべて現物ベースとし、2026年6月に視察した北海道の飼料設計に基づいています。

出典: FEDNA 2019飼料成分表(配合飼料PC18、コーンミール、乾燥脱水アルファルファ、ビートパルプ)およびFEDNA 2016粗飼料成分表(コーンサイレージ、グラスヘイ、オーツヘイ)

自家生産のコーンサイレージは、依然として最も経済的なエネルギー源です。一方、配合飼料はタンパク質とエネルギーを効率的に供給します。これらは、日本の酪農家が粗飼料を評価する際の基準となる指標です。

そのため、濃厚飼料よりも高いコストでタンパク質を供給する飼料や、ユーロ当たりのNEL供給量が低い飼料については、別の価値によってその採用理由が説明される必要があります。例えば、有効繊維の供給、飼料設計全体の構造維持、あるいはルーメン発酵の改善などです。

こうした観点から、欧州乾燥脱水飼料作物はさまざまな形でその役割を果たすことができます。

  • 乾燥脱水アルファルファ
    繊維と粗飼料由来のタンパク質を同時に供給します。現在の飼料設計ではその役割の一部が配合飼料と重複しますが、それでも高品質なアルファルファを少量給与することを選択する農場もあります。
  • 乾燥脱水ライグラス
    NDF含有率が46%と高く、飼料中の繊維質と物理的構造を強化することができます。また、国産チモシー乾草の代替選択肢にもなり得ます。
  • 乾燥脱水オーツヘイ
    比較した飼料の中で最も高い57.1%のNDF含有率を有しており、繊維供給を重視する場合に有効な選択肢となります。
  • 反芻家畜向けその他の乾燥脱水飼料製品 乾燥脱水フェスク、乾燥脱水アルファルファペレット/キューブ

これらの飼料の価値は、濃厚飼料の割合が高い飼料設計に対し、繊維質と適切な飼料の物理的構造を補完することにあります。これにより、反芻活動の促進、ルーメン環境の安定化、そして乳脂率の維持・向上を支えることができます。

欧州乾燥脱水飼料作物は、こうしたニーズに直接応えることができます。乾燥脱水加工によって処理された飼料は、高い乾物含有率を有しています。

乾燥脱水アルファルファは、繊維質と粗飼料由来のタンパク質を同時に供給します。一方、乾燥脱水ライグラスやオーツヘイは、飼料中の繊維成分を強化する役割を果たします。

地域で生産される粗飼料の量や品質が不足・不安定な場合でも、これらのEU産乾燥脱水飼料作物は、日本の酪農家にとって、バランスの取れた飼料設計を維持し、給与設計の柔軟性を高めるための信頼性の高い選択肢となります。また、追加コストを一定の範囲に抑えながら活用できることも大きな利点となります。

EUの共同資金支援を受けFILIERAとAEFAが実施している「EU乾燥脱水飼料作物~スペイン・イタリアから~」キャンペーンでは、高品質なEU乾燥脱水飼料作物の特長や持続可能な生産への取り組み、さらには実際の活用事例について、継続的に情報を発信しています。

キャンペーン活動への参加やEU乾燥脱水飼料作物に関する詳細情報をご希望の方は、キャンペーン公式ウェブサイト(www.eufodder.com)をご覧いただくか、japan@eufodder.comまでお気軽にお問い合わせください。また、ぜひ同僚や関係者の皆様にも、ニュースレターへのご登録(https://eufodder.com/ja/ja-contact-us/)をご案内ください。

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