欧州の畑から世界の畜産農場へ:EUはいかにして乾燥脱水飼料作物産業を発展させたのか

アルファルファは現在、欧州の畜産において最も重要な粗飼料作物の一つであり、高品質な飼料を世界中に供給する欧州乾燥脱水飼料作物産業の基盤となっています。しかし、現代農業において重要な役割を果たしているアルファルファは、もともと欧州原産ではありません。その歴史は2,000年以上前にさかのぼります1

アジアから欧州の農業へ

アルファルファは中央アジアおよび南中央アジアを原産地とし、紀元前490年頃、ペルシャ帝国のギリシャ遠征の際にギリシャへ伝わったと考えられています。その後、イタリアや欧州各地へ広がり、中世にはスペインにも定着しました。アルファルファは、家畜にとって優れたタンパク質と繊維の供給源としてすぐに欧州の農家に認識されるようになりました。その後、スペインやイタリアをはじめとする栽培に適した地域において、輪作体系や畜産システムの重要な構成要素となっていったのです。

伝統的な粗飼料から乾燥脱水産業へ

何世紀にもわたり、アルファルファはそのまま利用されるか、乾草として保存されてきました。しかし、これらの方法は天候条件に大きく左右されるうえ、輸送できる距離も限られていました。

転機となったのが、機械による乾燥脱水技術の導入です。収穫されたばかりの粗飼料を管理された環境下で迅速に乾燥できるようになり、水分含有量の低い、より安定した製品の生産が可能となりました。これにより、保管性や輸送性も大幅に向上しました。

乾燥脱水技術の導入により、アルファルファは地域内で利用される作物から、世界中で取引される飼料原料へと発展しました。同時に、収穫、乾燥、品質管理技術への投資が進み、欧州各地で乾燥脱水飼料作物の専門加工工場が整備されるようになりました。

重要な転機となったのは1974年です。この年、欧州共同体(EC)が乾燥飼料に関する共通市場制度(Common Market Organization for Dried Fodder)を導入し、産業の構造化と高品質で安定した供給体制の発展を支援しました2

現在、欧州の乾燥脱水飼料作物産業には約160の加工工場が存在し、年間約300万トンの乾燥脱水アルファルファを生産しています3

欧州から世界の市場へ

欧州で生産された乾燥脱水アルファルファは、その原産地をはるかに超えて世界各地で利用されています。乾燥脱水加工によって、粗飼料は長期間保存できるだけでなく、輸送や現代的な飼養管理システムへの導入も容易になりました。欧州乾燥脱水飼料作物は、何世紀にもわたって蓄積された農業の知見と最先端の加工技術を融合させた成果といえるでしょう。アジアを起源としながら、現在では世界の飼料サプライチェーンの重要な一部となったアルファルファは、まさに国際的な作物へと発展しました。そして欧州は、その中でも最も専門性の高い生産地域の一つとして重要な役割を担っています。

EUの共同資金支援を受けFILIERAとAEFAが実施している「EU乾燥脱水飼料作物~スペイン・イタリアから~」キャンペーンでは、高品質なEU乾燥脱水飼料作物の特長や持続可能な生産への取り組み、さらには実際の活用事例について、継続的に情報を発信しています。

キャンペーン活動への参加やEU乾燥脱水飼料作物に関する詳細情報をご希望の方は、キャンペーン公式ウェブサイト(www.eufodder.com)をご覧いただくか、japan@eufodder.comまでお気軽にお問い合わせください。また、ぜひ同僚や関係者の皆様にも、ニュースレターへのご登録(https://eufodder.com/ja/ja-contact-us/)をご案内ください。

  1. FAO(国際連合食糧農業機関)『Plant Genetic Resources of Grassland and Forage Species』、2026年8月参照 ↩︎
  2.  欧州連合(European Union)『Report From The Commission To The Council On The Dried Fodder Sector』、2026年8月参照 ↩︎
  3. European Forage(欧州飼料加工業者協会/CIDE)『European Forage』、2026年8月参照 ↩︎
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