日本乳業市場動向:牛群が減少、乳製品の夏場の需要が増加、飼料が鍵となるか

日本が夏期に突入する中、乳業部門は毎年のことながらますます複雑化する課題に直面しています。高温多湿の気候により飼料摂取量と乳量が抑制される中、牛乳と乳飲料の需要増加に対応することです。この微妙なバランスにおいて、飼料の品質と供給量は、今年後半の安定した乳製品生産を維持する上で決定的な役割を果たすと考えられます。

乳製品の供給と動向

日本の酪農業は、ここ数年、構造的な変化が続いています。全国の乳用牛の頭数は2024年前期には130万頭まで減少しました。これは1966年以来最低水準です1。この減少は、乳価の長期的な低迷と酪農家の高齢化が主な要因です。小規模・中規模の生産者が業界から撤退する中、残る酪農経営はますます集約化が進み、技術的に高度化しています。

データ元:MAFF, データを元に独自で編集

牛の頭数が減少しているにもかかわらず、1頭当たりの生産性は、遺伝的な選別、ロボット搾乳システム、より高度な栄養管理への投資により、引き続き向上しています。特に、国内最大の乳業生産地域である北海道では、3年ぶりに生乳生産量が前年比で増加しました。その結果、日本の生乳生産量は2025年に73.6千トンに達し、前年比1.3%増加すると見込まれています2

日本の乳製品消費は元々夏場に高まる傾向にあります(飲料、アイスクリーム製品、学校休暇前など)。乳業界ではコスト削減と生産性向上が必要不可欠であり、高品質な飼料が重要な要素となっています。

飼料見通し:輸入は引き続き役割を果たす

米国農務省(USDA)東京事務所では、小規模農場の閉鎖と国内飼料の増加により、2025年の総飼料輸入量がやや減少すると予測しています。しかし、世界的な価格下落により、輸入飼料は再び需要を回復しています3

データ元:財務省「貿易統計」, データを元に独自で編集

2025年第1四半期からの動向を示しています。EUの日本向け飼料輸出は第1四半期に37%増加しました4、ペレットの日本向け輸出量がベールの量を上回ったのは初めてです。

夏の暑さは飼料の摂取効率と牛の行動にさらなるストレスを与えます。高温期には、乳牛は摂取量が減り、飼料の一部だけを選択的に食べる「選別行動」を示す傾向が強まります。この問題を緩和し、乳量生産を確保するためには、繊維の長さを短くし、テクスチャーを一定に保つことが重要です。これにより、摂取量を維持し、廃棄物を減らし、最終的にコストを削減することができます。

この点において欧州の乾燥脱水飼料作物は明確に優位と言えるでしょう。伝統的な天日干し飼料は長さ50cmを超えることが多くありますが、EUで生産される乾燥脱水飼料は細かく切り刻まれており、通常10~20cmの範囲内に収まります。乾燥脱水飼料作物の実践的なポイントに関する指導はこちらをご覧ください: https://eufodder.com/ja/ja-eu-fodder-how-to-use/

この短い作物は、混合効率を向上させるだけでなく、飼料をより均一にし、牛の「選別行動」を軽減させます。このような特性は、正確な給餌プロトコルに依存する中規模から大規模の酪農場において特に有効です。

夏は機会も問題もありますが、EUの乾燥脱水飼料キャンペーンは日本の飼料産業と乳業セクターとの連携を強化し続けています。効率性、適応力、信頼を基盤とした品質重視のパートナーシップの展望は依然として明るく、この連携をさらに強化するため、9月に日本の専門家を対象としたEUへの視察ツアーを実施する予定です。

EU乾燥脱水飼料作物キャンペーンについて詳しく知りたい方や、ヨーロッパへの視察旅行に参加をご検討の方は、当社のウェブサイト www.eufodder.com をご訪問いただくか、メール japan@eufodder.com までご連絡ください。周りの皆様にもニュースレターの購読を勧めていただければ幸いです。

登録は EU乾燥脱水飼料作物 – スペインとイタリアから から行えます。


  1. 農林水産省, 畜産統計調査 ↩︎
  2. J-milk 2025年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について ↩︎
  3. USDA 飼料市場動向報告 ↩︎
  4. Eurostat, ec.europa.eu ↩︎

上部へスクロール