ヨーロッパでは2023年、主要生産国が干ばつや過剰降雨の影響を受けましたが、2024年には平均的な生産量を取り戻すと予想されています。
一例として、スペイン貿易投資庁(ICEX)カタルーニャ州のアグリフード部門責任者であるアレイクス・サンチェス氏による過去20年間の世界的なアルファルファ市場に関する分析をご紹介したいと思います。
アルファルファ市場は輸出国が一部に集中しており、米国、オーストラリア、スペイン、カナダ、イタリアが主な輸出国となっています。過去20年間、輸出量の増減に関わらず、アルファルファとペレットの価格は非常に安定していました。
この5年間、スペインのアルファルファの平均価格は1トンあたり300米ドル、ペレットの平均価格は1トンあたり250米ドルでした。またイタリアの平均価格は、アルファルファが1トンあたり274米ドル、ペレットが1トンあたり266米ドルでした。
アルファルファ年間輸出量と価格の推移 | アルファルファ年間輸出量と価格の推移 |
出典: アレイクス・サンチェスDA_001_ALFALFA
Usd: 米ドル / Tons:トン / Avg. Usd kg:1キロ当たりの平均価格(米ドル)い
ペレットとベールの価格差は、それぞれの製品の平均的な品質レベルの違いによるものです。ペレットのような飼料製品は、そのコンパクトさと扱いやすさから、中東の物流や環境に制約のある市場で需要があります。これらの主要地域での需要の高まりにより、価格が上がってきています。
スペイン乾燥脱水アルファルファの地域別輸出量
出典: アレイクス・サンチェスDA_001_ALFALFA
Region 地域
Western Europe ヨーロッパ西部
Mediterranean Europe ヨーロッパ地中海エリア
Balkan Europe ヨーロッパバルカン半島
Central Europe ヨーロッパ中央部
Eastern Europe ヨーロッパ東部
Middle East 中東
North Africa 北アフリカ
Sub-Saharan Africa アフリカサハラ地域
North America 北米
Central America and Carib… 中米、カリブ地域
South America 南米
East Asia 東アジア
South Asia 南アジア
Southeast Asia 東南アジアOceania オセアニア
過去20年間、EUの乾燥脱水飼料作物の生産量は国内消費量がわずかに減少し、また15年近くにわたって中東が主な顧客となってきましたが、この地域は2024年に突然輸入量を減らし、各国の購買計画から長期的にこの傾向が続くと思われます。一方、2015年頃からEUの生産者は東アジアという潜在性の高い市場への拡大を目指してきました。昨年から、この持続可能な作物のEU製品を維持するための努力はこれまで以上に重要になっています。EU乾燥脱水飼料作物セクターは、EUの資金援助を受け、東アジアの主要市場でさまざまなプロモーション活動を展開しています。
気候
気候は市場の方向性に大きな影響を与える要因となります。2023年はヨーロッパの主な生産地域の気候はかなり悪く、多くの地域が干ばつや過剰降雨の影響を受けました。
2024年は平均降雨量という点で好調に年を締めくくり、生産量は通常量に回復、来年の在庫を確保しました。スペインでは生産量が平均レベルまで回復し、2024/25年には15%増の110万トン以上になると予想されています。また、イタリアでも、栽培面積、生産量共に増加し、2023年には80万トンに到達、さらに増加するという有望な見通しが報告されています。その他EU生産者も例年通りの生産量を維持する見込みです。