EUには何世紀にもわたって生産プロセスを改善し続けてきた飼料作物の生産と利用の長い歴史がある。飼料作物にはさまざまな種類があるが、EUで生産・輸出されているほとんどがアルファルファで、ライグラスとオーツヘイがそれに続く。
9世紀にヨーロッパに導入されて以来、アルファルファ(別名ルーサン; 学名 Medicago sativa L.)[AR1] [JH2] は、その栄養価の高さから「飼料の女王」として知られている。ミルクを生産する反芻家畜にとって特別な役割を担っており、肥料や農薬をあまり必要としないことから環境面でも非常に有利で、生産はヨーロッパの気候によく適応している。アルファルファは、一般的にベール状で入手できるほか、ペレット状に加工することもできる。
アルファルファベールは、長い茎の繊維(乳牛の消化器官を正常に機能させる)と、乳牛用飼料(TMR、Total Mix Ration)の消化可能なタンパク源として利用されている。アルファルファは主に乳牛市場、それも特に輸出用として使用されている。アルファルファベールの使用対象は主に乳牛ではあるが、他にも肉牛、馬、羊、ヤギにも使用され、また飼料工場での使用もある。
アルファルファのペレットは、アルファルファを粉末にし、その粉末に特殊な加工を施してペレットに圧縮する。アルファルファペレットを直接家畜に与えることもあるが、飼料工場では、アルファルファペレットをミールに粉砕し、他の飼料原料を配合することで、繊維や栄養価の高い、高機能な飼料を製造するための原料として使用することが多い。アルファルファペレットは、ウサギ、小型の反芻動物、豚(特に妊娠期)の飼料にも適しており、さらに鶏や魚の飼料に関する研究も行われている。
ライグラスは、アルファルファが休眠している晩冬期にアルファルファ畑で生育する飼料作物、または安定した多肥牧草地で生育する飼料作物を混合したものである。消化性の高い繊維質と糖分が豊富で、嗜好性が高く、あらゆる反芻動物(特に乾乳期の牛)だけでなく馬などの単胃動物にも適している。
反芻動物の栄養における飼料の重要性をより深く理解するため、最も一般的な例として、乳牛が長期的にミルクを生産するという目的に対してどのように飼料を活用するかについて示す。
牛には栄養素を摂取するための2つの主要な器官、ルーメンと胃がある。そのため、牛は繊維、エネルギー、タンパク質を適切に組み合わせて摂取する必要がある。飼料、特にアルファルファは、ミルクをつくるのに必要な量の繊維質、十分なエネルギー、高タンパク質、アミノ酸を供給するため、非常に適した作物とされている。
商品化されたアルファルファの品質がすべて同じとは限らない。アルファルファの品質を測定する方法として世界的に最も知られているのは相対飼料価値(RFV)であるが、これは牛にとっての飼料の消化率とエネルギー効率を示すものである。RFV は 、NDF中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)の数値から計算した乾物消化率(DDM)と乾物摂取量(DMI)を用いた数式によって求められる。
飼料の粗タンパク質(CP)は計算には含まれないが、飼料の品質を評価する際に RFV とあわせて考慮されるもう一つの一般的なパラメータである[1]。
飼料作物の品質に影響を及ぼす要因には、刈り取り時の形状や植物成長具合、天候(特に収穫時の天候)、土壌タイプ、作物の病気や雑草、最終製品の保存状態などがあげられる。
[1] James R. Dunham: Relative feed value measures forage quality. Kansas State University, Forage facts, Publication series. Retrieved in March 2023.