ブリュッセルで開催された年次総会で、欧州農業協同組合・農業生産者団体Copa Cogecaの飼料作物チームは、2023年の飼料生産の成果を報告し、2024年の見通しについて議論した。主な参加者は、AIFE/Filiera Italiana Foraggiの会長でCopa Cogeca飼料作物チームのトップであるRiccardo Severi氏他、欧州委員会の農業農村開発総局(DG Agri)からもLaurent Mercier、Justyna Wrobel、Maguelone Laval の3名が出席した。検討会では昨年度の生産データの分析、業界が直面する課題への対応、次年度の戦略について話し合われた。
ヨーロッパの2024年に向けた飼料産業について、EU各国は楽観的な気持ちで次の生産シーズンに向けて準備を進めている。様々な課題はあるが、欧州における飼料の生産と貯蔵は、回復し明るい見通しを示している[1]。
EU域全体の飼料栽培
2024年、欧州の総飼料作物貯蓄量は70万トンを超えると予測されている。イタリアが36万トンでトップ、スペインが23万トン、フランスが11万5千トンでこれに続く。複雑な市場環境にもかかわらず、EU諸国は生産効率の向上、新しい市場の開拓、栽培戦略を最適化することによる成長の可能性を示している。
イタリアの状況
2023年、イタリアの乾燥脱水飼料作物の生産量は約300万トンで、内訳はアルファルファが240万トン、その他の飼料が60万トンだった。2023年5月にロマーニャ州で洪水が発生したため、生産量は2022年比で10%減少したが、6月の降雨により、年後半には十分な量と品質の飼料が確保された。2023年末までに、イタリアの飼料在庫は23万トンに達した。
2024年に向けて、イタリアの飼料生産は300万トン前後で安定的に推移すると予想される。またイタリアの飼料備蓄量は36万トンと見込まれており、ヨーロッパをリードしている。米国との競争、生産コストの上昇、海上輸送路の寸断、地政学的不安定など数々の課題に直面しているが、イタリアは飼料の輸出を積極的に推進、特にアジア市場での拡大に力を入れている。
スペインの状況
スペインの2023年の総生産量は98万トンで、深刻な干ばつなどが原因で前シーズンから22%減少した。しかし、実際の減少幅は当初の予想を下回り、業界の適応能力の高さを示している。アラゴン州の生産量が61%(60万4千トン)と最も多く、カタルーニャ州(17%)、カスティーリャ・イ・レオン州(10%)が続いた[2]。アルファルファのペレット生産量はわずかな減少、ヘイは大幅に減少した。
国内市場では、2023年期初めの干ばつと飼料不足により、4月から6月にかけて需要が急増した。輸出は、干ばつの時期の高値取引と、夏以降の不透明な需要という2つの局面に見舞われた。2024-25年シーズンは、スペインの貯水量が改善されたことから生産量は約130万トンにのぼると予想され、飼料栽培面積は5%増加の10万ヘクタールを超えると予測されている。
全体的にヨーロッパの飼料産業は、自然災害や市場の変動に直面しても、強い適応力と成長の可能性を示している。戦略を状況にあわせて調整することで、欧州諸国は域内需要を満たすだけでなく、国際市場を拡大し、将来の持続可能な発展のための強固な基盤を築いていると言えるだろう。
[1] Riunione a Bruxelles del Gruppo foraggi di Copa Cogeca, c’era anche AIFE/Filiera Italiana Foraggi—AIFE&Filiera newsletter
[2] La producción de alfalfa y forrajes deshidratados en la campaña 2023-24 descendió un 22% https://www.alfalfaspain.es/la-produccion-de-alfalfa-y-forrajes-deshidratados-en-la-campana-2023-24-descendio-un-22/