日本の酪農生産は伸びているが、消費回復の遅れとコスト上昇による収益性の低下が問題となっている。そのため、日本政府と酪農業界は、需給関係とコスト効率を改善するための対策を講じている。
J-ミルクが5月31日に発表した2024年の生乳生産量見通しによると、国内の生乳生産量は対前年比1.2%増の740万トンとなる見込みだ[1]。一方、乳製品の消費量は新型コロナウィルスのパンデミックから徐々に回復しつつあるが、まだパンデミック前の水準には達していない。
酪農場の収益は低下している。農林水産省によると、北海道をはじめとする各県の酪農家の収益は、減収とコスト増の両方によって低下している[2] 。この傾向は令和に入ってより鮮明になっている。2021年から2022年にかけて、1kgあたりの利益は北海道で62.5%、その他の県で90%減少している。
農林水産省によると、飼料コストは通常、乳牛や肉牛の経営コストの約30~50%と最も大きな部分を占めている[3] 。粗飼料や配合飼料、燃料の価格は上昇の一途をたどっており、酪農経営とその収益を大きく圧迫している。統計によると配合飼料価格は2020年から2023年にかけて18%上昇し続けている[4]。そのため農水省は、酪農家の負担を軽減するために飼料コストを削減することの重要性を強調している。
日本の酪農業はより多くの飼料の選択肢を検討する時期に来ているのではないか。EU乾燥脱水飼料作物は、日本の酪農の課題に対する解決策のひとつである。EU乾燥脱水飼料作物は、高品質なミルクを確保するための良質な飼料を競争力のある価格で提供できるため、品質向上と同時にコスト削減を実現することができる。
EU乾燥脱水飼料作物の主な利点のひとつは、繊維が短く、TMR用の混合にかける時間を効果的に短縮できることである。飼料の混合効率を高めるだけでなく、EU乾燥脱水飼料作物は、動物が餌から繊維質だけを取り出し、他の栄養価の高い部分を残すということを大幅に減らすことができる。
需給を調整するために、政府も生産者も現状に対応している。例えば、脱脂粉乳・バター等向けは、生乳の約50%を使用する最大の乳製品加工分野であるが、発酵乳や乳飲料の低迷により脱脂粉乳の需要は減少している。
生産者が脱脂粉乳の生産を減らし、乳業会社と協力して在庫を減らす動きがある一方、政府が在庫過剰を解消するための在庫削減策を連携して実施し、余剰飲用乳の乳製品加工への転換を促進している。しかし状況は好転しておらず、脱脂粉乳の2024年度の期末在庫は対前年比36.4%増の65,100トンになると予想されている[5] 。
[1] Raw milk production is expected to increase by 1.2%, while milk consumption will remain sluggish throughout the year – Rakunou.
[2] 畜産・酪農政策の現状と課題の整理 – 農林水産省
[3] Feed situation (November, 2023) – Feed Division, Department of Livestock Production, MAFF.
[4] 畜産・酪農政策の現状と課題の整理 – 農林水産省
[5] 「脱脂粉乳の期末在庫、削減対策実施しても6万5千㌧に」――生処が一層協調した需給対応が必要 – J-Milk