EUと日本の飼養モデルを比較 ― 高泌乳は濃厚飼料への依存が不可欠か

欧州連合(EU)は世界有数の酪農地帯として知られています。日本もまた、高い生産性を実現している酪農国の一つです。しかし、その生産性を支える飼養や給餌体系に大きな違いがあります。

各国における乳牛一頭あたりの年間平均乳量(2021)

参照:「日本の飼料、乳業の特色と状況」, 農林中金総合研究所, 原飼料は日本乳業協会「日本乳業年鑑(資料編)」、IDF「The World Dairy Situation 2022」

乳牛の生産性を左右する最も重要な要素の一つが飼料です。全国農業協同組合中央会(JA全中)では、粗飼料を生草、乾草、サイレージなどに分類しています1。日本の酪農では濃厚飼料への依存度が比較的高い一方、EUでは粗飼料をTMRの中心に据えた給餌体系が一般的です。

データによると1990年代初頭の日本では、現在よりも粗飼料の利用割合が高かったようです。しかし、その後は酪農経営の大規模化に対して飼料作物の作付面積が十分に拡大せず、飼料構成は徐々に濃厚飼料へとシフトしてきました。

しかし、2024年時点で濃厚飼料の自給率は13%2にとどまり、多くを輸入トウモロコシや大豆などに依存しています。このため、2021年から2023年初頭にかけての国際穀物価格の高騰は、日本の酪農経営に大きな影響を及ぼしました。こうした状況に対し、EUの飼養モデルは一つの参考事例となるのではないでしょうか。

EUでは、粗飼料は乳牛の飼料設計の基盤となる重要な資源です。牧草、サイレージ、乾燥脱水飼料作物を主体とした給餌体系が一般的であり、日本と比較すると濃厚飼料への依存度は低くなっています。

このようなTMR体系において、EU乾燥脱水飼料作物は重要な役割を果たしています。特にアルファルファはEUで広く生産・利用されており、粗タンパク質含量16~22%と高タンパクで、乳牛に必要なタンパク質を効率よく供給できます。また、フェスク、ライグラス、オーツヘイなどの製品は、乾物摂取量の確保に欠かせない高品質な繊維源として利用されています。

さらに、高温乾燥処理によって栄養価が安定し、長期間の保存が可能となるため、濃厚飼料やサイレージとの混合給餌にも適しており、現代の酪農経営における実用的な飼料として広く利用されています。

フランスで約8,000戸の酪農経営を対象に実施した調査では、乾物ベースで濃厚飼料は約23%であるのに対し、トウモロコシサイレージ、乾草、生草、乾草サイレージなどの粗飼料が70%以上を占めていました。

このようなTMR体系において、EU乾燥脱水飼料作物は重要な役割を果たしています。特にアルファルファはEUで広く生産・利用されており、粗タンパク質含量16~22%と高タンパクで、乳牛に必要なタンパク質を効率よく供給できます。また、フェスク、ライグラス、オーツヘイなどの製品は、乾物摂取量の確保に欠かせない高品質な繊維源として利用されています。

さらに、高温乾燥処理によって栄養価が安定し、長期間の保存が可能となるため、濃厚飼料やサイレージとの混合給餌にも適しており、現代の酪農経営における実用的な飼料として広く利用されています。

フランスで約8,000戸の酪農経営を対象に実施した調査では、乾物ベースで濃厚飼料は約23%であるのに対し、トウモロコシサイレージ、乾草、生草、乾草サイレージなどの粗飼料が70%以上を占めていました。

参照:農林中金総合研究所「日本の飼料、乳業の特色と状況」(原資料:CNIELによるとりまとめ (注)飼料データ観測所Res’alim®が対象とする7669の経営体のもの)

日本でも、粗飼料中心の給餌体系は十分実現可能です。

日本における経産牛の給餌例をみると、この考え方がよく表れています。例えば、トウモロコシサイレージ(黄熟期)20kg/日、イタリアンライグラスサイレージ10kg/日、オーツ乾草4kg/日を給餌した場合、乾物ベースで粗飼料の割合は60.9%となります。

ですが農林水産省の調査では、実際の粗飼料割合は北海道で約53%、都府県では約45%となっており、改善の余地があることが示されています。

経産牛への給餌例(3産、体重650kg、日乳 量30kg、乳脂率3.8%

参照: 農林中金総合研究所「日本の飼料、乳業の特色と状況」より抜粋 原資料は栃木県「飼料作物の栽培と利用(指導者向けマ ニュアル)

これらの事例は、粗飼料の割合を高めながらも高い生産性を維持できる可能性を示しています。EUの酪農では、高品質な粗飼料の栄養価を最大限に活用しながら、乾物摂取量やルーメン機能を維持し、生産効率を高めることを重視しています。日本の酪農においても、濃厚飼料は今後も重要なエネルギー源・タンパク源であり続けます。それであれば、まずはチモシーやオーツヘイなど、繊維価値の高い粗飼料の品質向上と有効利用を進めることが現実的な第一歩となります。良質な繊維源は乾物摂取量を維持し、ルーメン機能を安定させ、よりバランスの取れたTMR設計につながります。

さらに中長期的には、EU乾燥脱水飼料作物を取り入れることで、給餌設計を一層最適化することが可能です。例えば、高タンパクな乾燥アルファルファは購入しているタンパク質サプリメントの一部を代替でき、飼料利用効率の向上や輸入濃厚飼料への依存度低減が期待されます。

EUの飼養モデルは、生産性を損なうことなく、もう一つの選択肢を示しています。粗飼料は一般的に輸入濃厚飼料よりも国際穀物価格の変動の影響を受けにくく、飼料供給の安定性向上や、持続可能な酪農経営の実現にも寄与します。

生産性、飼料の安定供給、家畜の健康、そして持続可能性の両立が求められる現在、EU乾燥脱水飼料作物は、現代の酪農経営において高品質な粗飼料を取り入れるための有力な選択肢の一つとなるのではないでしょうか。

EUの共同資金支援を受けFILIERAとAEFAが実施している「EU乾燥脱水飼料作物~スペイン・イタリアから~」キャンペーンでは、高品質なEU乾燥脱水飼料作物の特長や持続可能な生産への取り組み、さらには実際の活用事例について、継続的に情報を発信しています。

キャンペーン活動への参加やEU乾燥脱水飼料作物に関する詳細情報をご希望の方は、キャンペーン公式ウェブサイト(www.eufodder.com)をご覧いただくか、japan@eufodder.comまでお気軽にお問い合わせください。また、ぜひ同僚や関係者の皆様にも、ニュースレターへのご登録(https://eufodder.com/ja/ja-contact-us/)をご案内ください。

  1. 粗飼料ハンドブック, JA全農畜産生産部, 2026年7月参照 ↩︎
  2.  飼料をめぐる情勢, 畜産局飼料課, 2026年7月参照 ↩︎
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