日本の酪農価格は上昇し、酪農家の負担が増大
地理的・気候的な理由により、日本の酪農を含む農業環境は、さまざまな気象要因による状況に対処してきました。地球規模の気候変動により、日本の酪農業界も、猛暑などの異常気象を深刻に受け止めています。
一般社団法人Jミルクが発表した「平成24年度生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題[1]」によると、昨年の夏、北海道は観測史上の最高気温に並ぶ記録的な猛暑に見舞われました。
このため、北海道など一部の地域では乳牛の妊娠期間が遅れ、5月下旬以降、分娩頭数が減少傾向にあります。この状況は夏場に分娩を迎える可能性を高める一方で、暑熱ストレスによる分娩事故や周産期疾病のリスクが高まる可能性もあります。
この夏も猛暑は続いています。主要な生乳生産農家は、扇風機や水の散布など、牛を冷やすためのさまざまな対策を講じています。
8月初旬には、日本酪農乳業協会が熱ストレスにより生乳生産量が減少していると警告を発しました[2]。暑さにより消費量は伸びているものの、価格が高騰しているため昨年の消費量を下回る可能性が高いといいます。
飼料やエネルギー価格の上昇に伴い、生乳価格に反映された結果、生乳の価格は過去最高値を更新しています。また、今夏の暑さにより、農場の電気代負担はさらに増加しています。
出典:農林水産省「農業物価統計」
農林水産省は最新の7月の生乳生産量データについて、2年連続の夏の高気温により、今年の7月の生産量は昨年と比較して1.7%減少したと発表しました。6月の対前年比0.5%減と合わせると、生産量データは2ヶ月連続で昨年を下回ることになります[1]。
このため、最近の生乳価格は、乳製品の需要が高まっていることを反映しているだけでなく、最近のコスト圧力や生産への影響も反映しています。
日本の酪農乳業界全体は環境の重要性を認識しており、地球温暖化防止に向けた取り組みに積極的に参加しています。このことは業界の様々な活動に見て取ることができます。
例えば、日本の酪農業界は、日本経済団体連合会が主催する「カーボン・ニュートラルアクションプラン」や「循環型社会形成に向けた自主行動計画」に参加しています[2]。また、全国酪農協同組合連合会は、カーボンフットプリントの取り組みである「CO2の見える化」を提唱しています[3]。
世界の農業産業の一翼を担うEUの乾燥飼料産業も、環境問題に多大な努力を払っています。
アルファルファをはじめとするさまざまなEUの天然飼料製品は、生物多様性、温室効果の緩和、水質汚染の低減において、積極的かつ効果的な役割を果たしてきました。EUの乾燥飼料が環境や社会に果たす役割について、さらに詳しくお知りになりたい方は、このリンクをクリックしてください。
[1] 農林水産省, 牛乳乳製品統計. 2024年9月時点の情報
[2] 日本乳業協会, 環境自主行動計画. 2024年9月時点の情報
[3] 全国酪農業協同組合連合会, 環境に対する取り組み. 2024年9月時点の情報