EUは世界2番目の飼料作物輸出国―全輸出量全体の30%を占める

世界有数の畜産・酪農供給国であるEUは、高品質な飼料作物生産国としても名高い。欧州における乾燥脱水飼料作物用の総栽培面積は25万ヘクタールを超え、うち65%はスペインとイタリアが占めている[1]

参照:国連商品貿易統計データベース(UN comtrade)

2021年のEUの乾燥脱水飼料作物の総生産量は360万トンで、アルファルファがその70%以上を占めている。約100万トンはオート麦、ライグラスのその他の飼料作物に相当する[2] 。 さらに、CIDE(EU乾燥脱水飼料作物協会連合)の報告によると、2021年の欧州の有機飼料生産量は25万トンを超えた。スペインとイタリアは、全世界の飼料輸出量(EU域内貿易を含む)の20%以上を占めており、EUは米国に次ぐ第2の飼料供給国となっている。

スペインはEUにおけるアルファルファの主要生産国で、年間約130万トン(過去5年間の平均)を生産している。アルファルファの栽培面積は22万~25万ヘクタールで、その約50%が毎年乾燥脱水飼料となる。

スペインでは、アルファルファは1シーズン(4月から11月)に5~6回収穫される。アルファルファの51%は秋、オーツ麦など冬穀物の収穫後に播種を行い、残りの49%は通常春のトウモロコシの収穫後に播種を行う。

スペインの主な生産地は、北東部(アラゴン州とカタルーニャ州)と北西部(カスティーリャ・イ・レオン州)である。生産は全国に広がっているが、主にエブロ川流域に集中しており、加工(乾燥脱水)工場は栽培地の近くに集中している。

イタリアは、ヨーロッパで2番目に大きな乾燥脱水飼料作物生産国である。イタリアでは77万ヘクタールを超える土地で1,000万トン近くの飼料作物が栽培され、そのうち100万トンが飼料工場で加工されている。

イタリアでは、灌漑なしで4月から11月初旬まで、1シーズンあたり最大7回アルファルファを収穫することができ、1ヘクタールあたりの平均収穫量は10トンである。

飼料作物栽培は、乾燥脱水工場の多いイタリアの北部と中部に集中している。乾燥脱水工場は、約90,000ヘクタールに及ぶ生産地から送られてくる原料を処理する[3]

イタリアの飼料生産の大部分は、GMP+と有機認証を取得している。また、畑には遺伝子組み換えでないことが証明されたイタリアの種子が播かれている。

CIDEを構成するEUの他の生産国は、フランス、ドイツ、オランダ、デンマーク、ブルガリアだが、生産量は少ない。フランスと同様、生産量の大半は欧州域内市場向けに確保されている。

[1] CIDE. Our Sector. Retrieved in March 2023.

[2] European Commission (2022). Minutes – Meeting of the CDG ARABLE CROPS – DRIED FODDER AND ENERGY CROPS. Retrieved in March 2023.

[3] Julier, B., Gastal, F., Louarn, G., Badenhausser, I., Annicchiarico, P., Crocq, G., Le Chatelier, D., Guillemot E. and Emile, J.-C., (2017). Lucerne (alfalfa) in European cropping systems. In: Murphy-Bokern, D., Stoddard, F. and Watson, C. (Eds.).  Legumes in cropping systems. CABI.

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