2024年業界情報:欧州の飼料生産の回復と成長
欧州の飼料産業は、2024/2025年度を迎えるにあたり、力強い回復の兆しを見せています。 昨年のスペインの深刻な干ばつ、イタリアの極端な雨量による困難を乗り越え、主要生産国では生産性の回復が見られます。
欧州最大の乾燥脱水アルファルファおよびその他の飼料生産国であるスペインでは、2024/25年度の生産量が110万トンを超え、昨年度と比べて15%の増加が見込まれています[1]。イタリアもまた重要な生産国でありますが、栽培面積と生産量の拡大により、2023年度には80万トンが生産される見通しで[2]、栽培面積は依然として増加しています。
持続可能な飼料生産を支える新たな農業政策
欧州の飼料生産の回復は、支援的な農業政策によってさらに強化されています。EUは2023年から2027年を対象とする新たな共通農業政策(CAP)が、農業部門の持続可能性と生産性を向上させることを目的とした複数のプログラムを導入しました。CAPは現在、環境への影響により重点を置いており、より厳格なコンプライアンス要件が含まれています。農家は、「エコ・スキーム」に則って持続可能な農業を行うことで報酬が得られるため、環境に配慮した慣行を採用するようになっています。
これらの施策は、欧州の飼料生産が競争力を維持し、環境面でも持続可能であることを保証することを目的としており、品質と信頼性を維持するために欠かせないものとなっています。
業界の集まりでグローバル市場への取り組みを強調
最近開催された業界イベントでは、欧州の飼料部門が回復とグローバル市場の拡大の両方に尽力することの重要性が強調されました。特に、AIFE/Filiera Italiana Foraggi 年次会議とブリュッセルでのCopa Cogeca会議では、主要な利害関係者が一堂に会し、生産動向と市場戦略について話し合われました。またこれらの会議では、国際市場の需要に応える業界の献身的な取り組みに関する高い関心が伺えました。
日本、ベトナム、台湾、インドネシアを対象とした3年間のキャンペーンがスタートし、注目が集まっています。このプログラムはヨーロッパ乾燥脱水飼料作物の利点、高い栄養価、優れた衛生状態、環境の持続可能性などをアピールすることを目的としています。これらの市場との関係を強化することで、ヨーロッパの飼料業界は対象国における畜産および酪農部門の成長を支援し、長期的な安定性と成功を確保する態勢を整えています。
[1] AEFAによる記事。「2024年~2025年のキャンペーンでは、乾燥脱水飼料生産は対前年度比15%増加の見込み」(https://www.alfalfaspain.es/la-produccion-de-forrajes-deshidratados-crecera-un-15-en-la-campana-2024-2025/
[2] イタリアの牧草市場の見通し(https://aife.eu/wp-content/uploads/2023/12/20231127-Convegno-AIFE.pdf)